過去のお話 その弐 癌の足音
朝から嫌なだるさがあった。
きっと昨日あんなに血を流したからだ、今日検査終わってなにもなかったら
少しだけ良い物を食べよう・・・
そんな風に思って布団から起きた朝でした。
今朝も寒いけど雪は降っていない。
言われたとおり大きい病院へ行くべく保険証等の用意をし、すぐには診てもらえないだろうから家の用事を少し片付けて病院へ向かった。
案の定、別の患者さんの間で診るけどいつになるかわからないとのこと。
仕方ないね、その間は待ち合いに置いてある新聞を見たり、雑誌を見たりしていよう。
待ってる間はやたらと長い、そしてよからぬ不安が胸をよぎる、痛い事とかされないだろうか、、、以前に病院では嫌な思い出がある。
親族にも病院で色々あった。
「様子を見ましょう」
この言葉は聞きたくない。
待つ事数時間、すでにお昼の一時を回っていた。
診察室にはいり、優しそうな先生に事情を説明した、そして昨日実は血液の色が判断材料になるかも知れないと写真を撮っておいたのを見せた。
「検査しましょう」
当然そうなるのだが心臓がバクバク言い始める。
すぐにまず尿検査があり、検査結果待ちの間に超音波診断をすることになった。
痛くない検査でよかった、、、と少し安堵していた。
そして医師からは
「尿管が腫れてるのかな?石かもしれないですね、あと少し気になる影があるので造影剤CTを撮りましょう・・・今日は遅くなるので後日予約をとりますね」
ええ!?
そして尿検査は
「目には見えてませんがまだ血液反応がしっかりでています」
えええ!?
そんな不安を抱えて帰れないのでなんとか本日無理でしょうか?と検査を頼み込んでみました。
かなり後回しになると条件がありましたが、その日は金曜日、後日と言えば来週確定だからそれまでこの不安を抱えないといけない。
すると本日一番後になるみたいだけど「わかりました今日CT検査をしましょう」と言ってもらえました。
医師に御礼を言いつつ診察室を後にして、造影剤CTの検査待ちをし、造影剤検査は
体調を悪くする人がいるとの事で、承諾書とかアレルギーの事とか色々書いた。
そして初めて受けるその検査に恐怖を感じつつも検査が終わり、待合室で再び待機。
大変な一日だな・・・そう思って大きい窓から外を見てると
雪がふってきた。
最初はちらほら、そのうち風が強くなってきて、みるみる木々が白くなってきた。
なんだろう、雪は好きなのに、今日は違和感がすごい。
きっと慣れない検査やこの場所のせいだな・・・
そして待っていると、一人、また一人と患者さんが帰って行く。
あんなに人がいた広い待合室ががらんとしてきて、
最期には自分ひとりになってしまった。
隣が別の科の待合フロアなんだが、そちらはすでに全ての診療が終わったらしく
電気が必要のない箇所は消えていった。
自分が待っている待ち合いフロアも節電なのか自分のいる付近を除き、周りの電気が少し薄暗くなった。
なんか、取り残された気分
見放された気分
ふと、外の雪と薄暗い光だけの待合室で不吉なものを感じていた。